誰のせい?

——————————————-登場人物–

佐和田 (サワダ) (高2)
かずま (カズマ) (高2)

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◯駅・改札前 (昼)

佐和田 (高2)、時計を見ながら待っている。

かずま (高2)、改札口からやってくる。

かずま「待った?」

佐和田「待ったよ。何時だと思ってんだよ」

かずま「んー、3時?」

佐和田「(怒りながら)そう、3時だよ!」

かずま「当たったー!」

佐和田「あのさー、クイズじゃないんだ」

かずま「知ってるよ」

佐和田「当たったって言うからさ・・・」

かずま「でも当たったじゃん」

佐和田「まあ、当たったけどさ。約束の時間は知ってるよな?」

かずま「2時」

佐和田「そうだよ。こっちは1時間待ったんだよ?」

かずま「そのくらい計算できるよ」

佐和田「そういうことじゃなくて」

かずま「ん?」

佐和田「いや、遅れてきたヤツの態度じゃないよな」

かずま「あー、そういうこと」

佐和田「そう」

かずま「で?」

佐和田「で?ってさ。謝んない?」

かずま「あー、謝って欲しいわけか」

佐和田「いや、別に謝ってほしいわけじゃないよ。でも普通さ、普通は謝んない?」

かずま「やっぱり、謝ってほしいわけじゃん」

佐和田「いや、だから・・・もういいや」

かずま「違うんだよ。目覚ましが鳴らなくて」

佐和田「あー、電池切れか。焦るな」

かずま「つーかさ、電池切れだったら、電池交換でいいんじゃん?そんな焦るかよ?」

佐和田「いや、鳴らなかったことに焦るだろ」

かずま「焦っても、何も始まらないし」

佐和田「は?」

かずま「ちっちゃいんだよ」

佐和田「なにが?」

かずま「器が」

佐和田「え、なんか俺が責められてない?」

かずま「責めてる、責められてるの話じゃなくてさ」

佐和田「結局、なんで鳴らなかったんだよ?」

かずま「あー、セットするのを忘れてて」

佐和田「え?それって目覚ましのせいじゃないじゃん」

かずま「誰も目覚ましのせいにしてないよ」

佐和田「そんな口ぶりだったじゃん」

かずま「ありのまま言っただけなんだけど」

佐和田「もういいや。行こうか、そろそろ始まるし」

かずま「無理だよ」

佐和田「無理って?」

かずま「だって、こんな時間じゃん。もう座れないよ」

佐和田「それは、かずまが遅れてくるからじゃん」

かずま「遅れてきたからってさ、すぐに行けば間に合ったよ」

佐和田「え?じゃあ、俺のせい?」

かずま「まあ、そうなんじゃん?」

佐和田「え?俺?」

かずま「お前以外に、誰のせいだって言うんだよ」

佐和田「いや、待てよ」

かずま「なんかいろいろ言ってくるからさ。早く行かないのかな?って思ってたんだよ」

佐和田「そう思うんなら言えよ」

かずま「いえねーよ」

佐和田「なんでだよ」

かずま「俺、人に気ぃ使うタイプだから、思ったこと言えないし」

佐和田「は?」

かずま「あー行きたかったな。あきらめるか」

佐和田「で?」

かずま「いや、で?じゃなくて、そこは謝るとこだって言ってたよね」

佐和田「あー、悪い」

かずま「自分は謝らないのに人には強要するんだな」

佐和田「そうじゃないよ。悪かった」

かずま「別にいいけど」

佐和田「どうする?」

かずま「帰るよ」

佐和田「帰んの?」

かずま「仕方ないじゃん」

佐和田「せっかくだから何か食べてく?」

かずま「そんな気分じゃないし」

佐和田「そっか」

かずま「まあいいって、気にすんな」

かずま、改札へ歩き出す。

佐和田、駅を出ていく。

佐和田、改札を振り返る。