(未完結) 4連休前の悲劇

——————————————-登場人物–

環 (タマキ) (中2)
淳之介 (ジュンノスケ) (中2)

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太田 (オオタ) (中2)

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◯教室・放課後

環 (中2)、淳之介 (中2)、隣同士の席。

「最悪だー」

淳之介 「どうしたんですか?」

「今日返ってきた数学のテスト・・・6点だった」

淳之介 「(大きな声)6点?」

「バカ!声が大きいよ」

淳之介 「すみません。でも、次頑張ったら大丈夫ですよ」

「違うんだ。今日のテスト、再テストに引っかかったらゲームを取り上げられるんだよ」

淳之介 「再テストって、確か35点以下でしたっけ?」

「そうそう。だいたいさー、再テストに何の意味があるっていうんだ」

淳之介 「え?じゃあ、明日からの4連休はゲームなし?」

「そうなんだよ!何のための4連休なんだか。あー、もー」

淳之介 「それは最悪すぎます。しかも、今夜はアップデートで新エリアに行けるようになるんですよ」

「それを言うなよー。俺はそれだけを楽しみに、この1ヶ月テスト勉強までしてきたんだよ」

淳之介 「一応、テスト勉強はしたんですね」

「当たり前だろ!じゃなきゃ、6点なんて取れるわけねーだろ」

淳之介 「努力で勝ち取った6点なんですね」

「(自慢げに)まあ、そうなるかな」

淳之介 「素晴らしいです。点数ではなく、努力した過程に感動です」

「あー、こうなりゃ意地でもカンニングするべきだったよ。昔っから、俺は真面目すぎて失敗するタイプだったんだよ」

淳之介 「だったら、テストの返却は来週ってことにしたらどうですか?」

「それも考えた。でも、ダメなんだ」

淳之介 「どうしてです?」

「俺んちの隣、太田の家なんだよ。テストの返却情報は完璧なんだよ」

淳之介 「太田くん、天才ですからね」

「そうなんだよ。天才は周りを不幸にする」

淳之介 「だったらこれはどうです?」

「なに?」

淳之介 「僕のテストと、環くんのテストの名前を書き換えてこの4連休だけ交換するんです」

「お前は周りを幸せにする天才だな」

淳之介 「連休明けには、また、もとに戻すんです」

「それでいこう!だいたいさー、親なんて点数しか見てないんだ。字でバレることはないな」

淳之介 「大丈夫ですよ」

「ところで、何点だったんだよ?」

淳之介 「あんまり大きな声で言えるような点数ではないんです」

「お前も再テスト?」

淳之介 「さすがに再テストだったら交換なんて言いませんよ。意味ないじゃないですか」

「まあ、そうだな。じゃあ、何点だよ?」

淳之介 「39点です」

「すげー!やっぱ天才だよな」

淳之介 「39点ですよ?」

「だってさ、39点ってことはだよ?ほぼ、4割できてるってことだろ?」

淳之介 「まあ・・・」

「野球で言ったら、ほぼ4割バッターなわけじゃん」

淳之介 「それって、すごいんですか?」

「すげーよ。ほぼ天才バッターだよ」

淳之介 「なんか、すごく嬉しくなってきました。39点のテストが愛おしいというか・・・離れるのが辛くなってきました」

「そこをぐっと堪えて週明けに39点のテストと再会する!それが愛ってもんさ」

淳之介 「環くんて、大人ですね」

「まあな。とにかく、名前を書き換えようぜ」

淳之介 「そうですね」

「あっ」

淳之介 「どうかしました?」

「あのさ、ダチョウ知ってる?」

淳之介 「鳥の?」

「そうそう」

淳之介 「それがどうかしました?」

「ダチョウって、家族で群れを作って生きていくんだ」

淳之介 「へー、環くんて物知りですね」

「でもさ、普通の物知りはここまでしか知らないんだよ」

淳之介 「じゃあ、環くんはもっとすごいことを知ってるんですか?」

「まあな、俺は普通よりちょっと上の物知りだからな」

淳之介 「さすが、環くん!それで?」

「ダチョウってさ、すげー頭が悪いんだよ」

淳之介 「そうなんですか?」

「ああ」

淳之介 「じゃあ、インコみたいに人間の言葉を真似したりできないんですね」

「アイツらには無理だね」

淳之介 「へー」

「まだ驚いちゃいけないよ。普通よりちょっと上の物知りはここまでだ」

淳之介 「ってことは、環くんはまだなにかを知ってるんですね?」

「もちろんさ!俺は結構上の物知りだからな」

淳之介 「すごすぎます!結構上の物知りの環くんが、なぜ6点なんでしょう」

「それは仕方ないことさ。俺は、物知りの文系なんだ」

淳之介 「なるほどー」

「数学だけが苦手とも言う」

淳之介 「そうなんですね!でも、古文も再テストって言っていましたよね」

「俺は、現代を生きてる男なんだ。未来にしか興味ねーよ」

淳之介 「なんか、カッコいいですね」

「まあな」

淳之介 「素晴らしいです!(拍手)で、なんの話をしてましたっけ?」

「ああ・・・ダチョウについてだ」

淳之介 「そうそう、ダチョウについてです」

「そのダチョウだが、ヤツら頭が悪すぎて家族を間違えたりするんだ」

淳之介 「家族を間違える?」

「つまりな」

淳之介 「はい」

「自分の子供のはずが、実は全く別の群れの子供だったり」

淳之介 「え?」

「でもって、ペアの相手でさえ間違えるんだよ」

淳之介 「他人で構成されている家族ってことですか?」

「そうなんだよ、アイツら他人家族なんだよ」

淳之介 「じゃあ、家族だと思っていたのに、実はフラミンゴだったりとかもあるんですか?」

「いくら頭が悪いからって、そこまでバカじゃないよ。今のはちょっと、ダチョウに失礼だな」

淳之介 「あっ、すみません」

「俺に謝られても、俺ダチョウじゃないし」

淳之介 「あっ、そうでした。で、そのダチョウがなにか?」

「そこなんだ。テストを交換するんじゃなくて、俺らが入れ替わるって手もあるな」

淳之介 「良いアイデアだとは思うんですけど、うちの両親はダチョウではないので間違えないと思いますよ」

「わかってるよ。けどさ、堂々と帰ったら案外間違えるかもしれないよ」

 

 

未完結作品です。

続きを楽しんでください。