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息子の話です。
志望校の決まらなかった小6の夏。
ある学校の演劇部の動画を見つけました。
顧問の先生、部員、そして部全体のなんとも言えない空気感。
居心地の良い雰囲気が伝わってくるものでした。
おとなしい息子にも、ここだったら居場所が見つかるかもしれない。
おとなしい息子でも、ここだったら歓迎してもらえるかもしれない。
息子も同じようなことを感じたのだと思います。
通学や行事に彼の苦手とするハードなことがありました。
「あの学校だけは嫌」と、あれほど言っていたのに…
動画を見終わる頃には志望校が決まった、そんな夏のある日の出来事でした。
そして無事に合格をいただき、待ちに待った部活紹介。
部活紹介で観劇したことを迎えに行った車の中で楽しそうに話してくれました。
演劇部のホームページで、
彼の笑顔の写真が何枚も残されています。
いつも隠れるように写っていた小学生時代が嘘のように…
時には中央に立って笑っている息子がそこにはいました。
公演の待ち時間に先輩とご飯を食べに行ったり、
夏休みにカラオケへ行ったり
打ち上げの二次会…三次会と少人数になる最後の最後まで残り
今まで経験したことがない楽しい時間を過ごしていました。
それほど特別なことではないのですが
小学校時代、ほとんど誰とも話さず過ごしてきた彼にとって
特別な3年間だったと思います。
ある日、部活のホームページで
笑顔のない固い表情の息子の写真を見ました。
その頃からです。
部活の話をしなくなり
笑顔もなくなり
家族ともあまり会話をしなくなりました。
いちばん落ち着く心地よい場所が
いちばんしんどい場所へと変わってしまったのでしょう。
そして彼は、学校を辞めました。
入部した頃からの写真を何度も何度も見ました。
いろいろあったかもしれないけど
彼がこんなに笑っている時間を過ごしていた日々への
感謝はどんどん膨らむばかりです。
こんな楽しい時間を過ごしていたことへの感謝。
感謝の気持ちを何かのカタチで返したい
そんなふうに思いました。
初めて息子の演劇を見た時に驚いたことがあります。
それはアバンタイトルでした。
テレビドラマでは視聴率を取るための一つの手法ですが
演劇にもあるんだって。
それが妙にカッコよく感じました。
舞台のホンは書いたことがありませんが
舞台のホンも書けるかもしれないって思いました。
場面もあまり変わらない。
当然ながらCMもない。
舞台のホンもテレビのように書けるかも…
なんて思ってしまいましたが
書いてみると実際は難しい。
ダラダラしてしまうんです。
そして月日は流れました。
2022年12月
素敵なお届け物がありました。
開けてみると、そこには息子の笑顔がありました。
久しぶりに見る息子の笑顔でした。
その笑顔を見て
忘れかけていた感謝を思い出しました。
何かのカタチでお返ししたい。
全国の男子校演劇部のホンを書いてみようと思います。
私にできる、あまりお力になれない恩返しです。
顧問の先生や部員の方が
ホンを書いている学校が多いようなので
大会用ではなく普段の部活で使えそうな
練習用のショートコントのようなホンを書いてみたいと思います。
この場を借りて
息子がお世話になった演劇部の顧問の先生方
部員の皆さま、ありがとうございました。
特に一学年上の先輩方には本当にお世話になりました。
言葉では表せないくらいの感謝でいっぱいです。
本当に本当にありがとうございました。
追記
2024年3月
息子は自分から高校へ行きたいと言ってきました。
現在、通信高校で頑張っています。